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術後の診察と定期検診
乳がんは手術後も長く付合っていくことになる病気です。乳がん細胞は、長い時間かけて増殖を繰りかえして成長します。術後、乳房に小さな細胞が残っていた場合、それが成長して気づくほどの大きさになるには、10年ぐらいかかるといわれます。その間は、経過を観察していく必要があります。 |
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手術後のフォローアップ(経過観察)の目的と方法
術後の診察や検診を通して、再発や転移があれば早期に発見していきます。 |
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乳房と全身をチェックしていきます。 |
1.手術をした側の乳房のチェック・・・局所再発していないかを確認
2.反対側の乳房のチェック・・・もう一方の乳房も乳がんになりやすい
3.転移のチェック・・・他の臓器に転移はないかを確認 |
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経過観察の内容
外来での診察の頻度や内容は医師の考え方と患者の術後の年数や状態によって異なりますが、主に問診、視触診や血液検査(3ヶ月ごとぐらい)等を行います。何らかの異常を感じている場合は、診察日を待たずに、受診しましょう。
<診察室でのコミュニケーション>
術後(特に術後間もないころ)は患者にとって、定期的な診察を受けることで安心感を持ち、それにより日常生活も安心して送れると感じる場合もあるでしょう。日頃から主治医とのよいコミュニケーションをとることは、患者にとって精神的な安定という以外にも、医師側からしても患者の家族、生活、社会環境を知り、それぞれの患者の治療方針を決めるにあたっても、有効な判断材料となります。
しかし、実際の診察室では一人の患者にかけられる診察時間は数分というのが現状です。 |
診察時間を有効に使うために
・ 質問したいことはメモにまとめていきましょう
・ よくわからない言葉はきちんとその場で聞き直しましょう
・ 前もって自分で調べてみて、主治医に確認するのもよいでしょう |
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血液検査<視触診でどこを診るのか>
診察での視触診は基本的に手術前と同じように行いますが、術側については以下のような違いがあります。全摘手術の場合は、手術の傷跡周辺、温存手術の場合は、残った乳房全体を診ます。その他に、リンパ節転移を調べるため、両腋、鎖骨周辺、頚部の視触診も行います。 |
血液検査<血液検査と腫瘍マーカー>
腫瘍マーカーとは、がん細胞から分泌されるタンパク質のことです。その数値によって再発・転移をしているかを調べますが、正常な細胞や良性の疾患でも生産されることがあるので、画像診断などの検査とあわせての診断になります。
腫瘍マーカーは一度だけの数値で判断するのではなく、継続的に数値の変化を診ることが大切です。なお、転移・再発治療をしている場合は、腫瘍マーカーの推移で治療の効果を診ていく場合もあります。 |
主な乳がんの腫瘍マーカーと正常値
CEA…2.5以下
CA15-3…27以下
BCA225…160以下
NCC-ST-439…7以下 |
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術後の診察とは別に、定期的に全身の詳しい検査をし、再発・転移をしていないか、チェックを行います。定期検診の方法や間隔は医師や各医療機関によっても違います。 |
定期検診の内容 |
胸部のチェック |
胸部CT、胸部X線で肺・胸膜への転移の有無のチェック |
腹部のチェック |
採血、超音波、胸部CTで、肝機能、肝転移のチェック |
骨のチェック |
骨X線、骨シンチグラフィで骨転移の有無のチェック |
脳のチェック |
頭部CTでチェック
※通常は症状がなければやらない |
乳癌以外の病気のチェック |
婦人科検診
※特に抗ホルモン治療をしている人 |
全身状態のチェック |
PET |
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※PET検査については、こちらもごらんください。※定期検査によって早期に遠隔転移を発見し、治療を開始してもその後、経過に大きな差はないといわれていますが、積極的に治療を進めるかどうかは、患者一人ひとりの考え方によりそれぞれ違います。
しかし、骨転移などの発祥部位によっては、早期発見により、骨折等を防ぎ、QOLを高めることができます。
最近では転移性乳がんに対しての最新治療もずいぶんと進んできているので、将来的には早期発見も充分意義のあることとなることを期待したいです。 |
定期健診の検査項目と検査頻度
検査項目 |
日本での頻度例 |
2年まで |
5年まで |
10年まで |
診察 |
3ヵ月ごと |
3~6ヶ月ごと |
1年ごと |
採血 |
3ヵ月ごと |
3~6ヶ月ごと |
1年ごと |
胸部レントゲン又は胸部CT |
6ヶ月~1年ごと |
6ヶ月~1年ごと |
1年ごと |
骨シンチ |
1年ごと |
1年ごと |
1年ごと |
肝エコー又は腹部CT |
1年ごと |
1年ごと |
適宜 |
マンモグラフィー |
1年ごと |
1年ごと |
1年ごと |
乳房超音波 |
3~6ヶ月ごと |
6ヶ月ごと |
1年ごと |
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月に1度自分の胸を観察しましょう。
手術をした乳房側に再発(局所再発)が生じていないかチェックするとともに、反対側のチェックもしましょう。
参照:自己検診の方法と内容については、
「乳がんの検診」をご覧ください。
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